インクとペンの相性 [モノ語り:文具]
今年度の仕事道具として投入したパイロット・カスタムヘリテイジ92。
前回載せた写真では,「色彩雫/冬柿」を吸入してあります。ただ,この取り合わせ,ちょっと使い方にコツがいるようで,コピー用紙(PPC用紙)だと書き方によってはにじみが出ます。それも,かなり派手に。
「色彩雫/冬柿」の前に,少しだけウォーターマンの赤インクを吸入してみたのですが,これがどうにも使いにくく,それでパイロットのインク(パイロットでは「インキ」と表記するようですが)にしました。
まず,ウォーターマンの赤と「冬柿」では,インクタンク内でのインクの「挙動」が違います。ウォーターマンの赤は,常時いわゆる「吊り」の状態。さらにインクがタンクの表面に馴染まず,弾かれます。前回の写真の「冬柿」のようにタンク一面にインクの色が広がったりしません。インクの粘度か成分の違いでしょう。
ウォーターマンの赤で書くと,細字(F)のペン先が極細になります。試し書き用のロディアでは,針のような文字です。私の手持ちで一番細く書ける青ペリスケ(EFのスチールペン先)並みです。
同じパイロットの5号ニブ(14K)の中細字でもウォーターマンの赤を使ってみましたが,こちらは太さはともかく,ふだんの筆記の速さだと文字の濃淡がきつくなります。インクの乗らないところはかなり薄くなり,乗るところはくっきり。仕事の記録用に使っているモレスキンでは濃い部分が裏抜けします。ただ「冬柿」と違って,どちらのペン先でもにじみはまったく出ません。
どれもこれも,おそらくはインクの粘度の問題で,ウォーターマンの赤はフローが渋いのだろう,パイロットのペン先またはペン芯と相性が悪いのだ,と思っていました。
この3月に卒業した卒研ゼミ生たちに贈る筆記具として,今回はパイロットの「プレラ/色彩逢い」を選びました。自分用にも買ってあったこのペン(細字)にウォーターマンの赤を入れてみて,びっくり。
極細なのはヘリテイジ92と同じですが,ニブが5号ニブより短く,かつスチールなので,ヘリテイジ92やカスタム74で書いていると感じる「ペン先がややとんがってる感じ」がありません。そして,ヘリテイジでは裏抜けするモレスキンでも,プレラでは一切裏抜けなし。
それで,どうやらインクとペンの関係を誤解してたのではないかということに思い当たりました。
つまり,吊りが起こるヘリテイジでも,決してインクは出てないわけではなく,むしろプレラよりもよく出ている。でも,粘度があるから細字は極細になるし,中細字でも,早書きするとインクがペン先から紙に乗るときに,いわば「ダマ」のようなものができて濃淡がきつくなり,モレスキンでは濃い部分が裏抜けする。「冬柿」はさらさらしているので吊りは起こらないし,インクの乗りもよいのでウォーターマンほど極細にもならない。その代わり,紙によってはにじむし,モレスキンでは裏抜けする。
プレラは最初から少しフローが絞り気味で,その分ウォーターマンでも「ダマ」ができないから,濃淡も少ないし,モレスキンでも裏抜けしないし,早書きでも大丈夫,と。
これが正しいことを証明するには,プレラの細字で「冬柿」を使ってみればいいわけですが,さすがにこれ以上ペンを増やしてもなあ……(笑)。
そして何より,まだ金ペンを使いこなせるほど万年筆を使い込んでいない,ということかな,と(笑)。筆記のときのペンの角度や筆記の速さ,そういうものをどのペンでも同じにしていたのでは,本当のペンの性能を引き出せないのでしょうね。
前回載せた写真では,「色彩雫/冬柿」を吸入してあります。ただ,この取り合わせ,ちょっと使い方にコツがいるようで,コピー用紙(PPC用紙)だと書き方によってはにじみが出ます。それも,かなり派手に。
「色彩雫/冬柿」の前に,少しだけウォーターマンの赤インクを吸入してみたのですが,これがどうにも使いにくく,それでパイロットのインク(パイロットでは「インキ」と表記するようですが)にしました。
まず,ウォーターマンの赤と「冬柿」では,インクタンク内でのインクの「挙動」が違います。ウォーターマンの赤は,常時いわゆる「吊り」の状態。さらにインクがタンクの表面に馴染まず,弾かれます。前回の写真の「冬柿」のようにタンク一面にインクの色が広がったりしません。インクの粘度か成分の違いでしょう。
ウォーターマンの赤で書くと,細字(F)のペン先が極細になります。試し書き用のロディアでは,針のような文字です。私の手持ちで一番細く書ける青ペリスケ(EFのスチールペン先)並みです。
同じパイロットの5号ニブ(14K)の中細字でもウォーターマンの赤を使ってみましたが,こちらは太さはともかく,ふだんの筆記の速さだと文字の濃淡がきつくなります。インクの乗らないところはかなり薄くなり,乗るところはくっきり。仕事の記録用に使っているモレスキンでは濃い部分が裏抜けします。ただ「冬柿」と違って,どちらのペン先でもにじみはまったく出ません。
どれもこれも,おそらくはインクの粘度の問題で,ウォーターマンの赤はフローが渋いのだろう,パイロットのペン先またはペン芯と相性が悪いのだ,と思っていました。
この3月に卒業した卒研ゼミ生たちに贈る筆記具として,今回はパイロットの「プレラ/色彩逢い」を選びました。自分用にも買ってあったこのペン(細字)にウォーターマンの赤を入れてみて,びっくり。
極細なのはヘリテイジ92と同じですが,ニブが5号ニブより短く,かつスチールなので,ヘリテイジ92やカスタム74で書いていると感じる「ペン先がややとんがってる感じ」がありません。そして,ヘリテイジでは裏抜けするモレスキンでも,プレラでは一切裏抜けなし。
それで,どうやらインクとペンの関係を誤解してたのではないかということに思い当たりました。
つまり,吊りが起こるヘリテイジでも,決してインクは出てないわけではなく,むしろプレラよりもよく出ている。でも,粘度があるから細字は極細になるし,中細字でも,早書きするとインクがペン先から紙に乗るときに,いわば「ダマ」のようなものができて濃淡がきつくなり,モレスキンでは濃い部分が裏抜けする。「冬柿」はさらさらしているので吊りは起こらないし,インクの乗りもよいのでウォーターマンほど極細にもならない。その代わり,紙によってはにじむし,モレスキンでは裏抜けする。
プレラは最初から少しフローが絞り気味で,その分ウォーターマンでも「ダマ」ができないから,濃淡も少ないし,モレスキンでも裏抜けしないし,早書きでも大丈夫,と。
これが正しいことを証明するには,プレラの細字で「冬柿」を使ってみればいいわけですが,さすがにこれ以上ペンを増やしてもなあ……(笑)。
そして何より,まだ金ペンを使いこなせるほど万年筆を使い込んでいない,ということかな,と(笑)。筆記のときのペンの角度や筆記の速さ,そういうものをどのペンでも同じにしていたのでは,本当のペンの性能を引き出せないのでしょうね。
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